桐山工業が選んだ「熱伝導革命」。塩原製作所の技術「ネツリード」で給食釜はどう進化したか?
学校給食や病院、食品工場など、大量調理の現場で欠かせない「回転釜」。 その性能を飛躍的に向上させるため、業務用調理器具メーカーの桐山工業株式会社(以下桐山工業)が注目したのが、株式会社塩原製作所(以下塩原製作所)が開発した吸熱・放熱塗料「NEZLEAD(ネツリード)」でした。
実際にネツリードを使ってよかったこと、 数ある技術の中で、なぜネツリードを採用したのか、代表取締役社長 品川みゆき様にお話を伺いました。
▲写真左から:桐山工業株式会社 代表取締役社長 品川みゆき様/常務取締役 牧登志夫様
桐山工業株式会社について
── 桐山工業について教えてください。
桐山工業: 私たちは、学校給食や病院給食、食品工場などで使用される「業務用回転釜」の専門メーカーです。 「おいしく、早く、安全に」をモットーに、ガス式・蒸気式・IH式など多様な熱源の回転釜などを製造・販売しています。長年にわたり現場の調理師さんの声を反映した製品開発を行っています。
ネツリードを導入している釜について
── 今回、ネツリードを導入されている回転釜について教えてください。
桐山工業: 内釜の材質は「アルミ製」と「ステンレス製」の2種類を用意しており、サイズは36リットルから最大180リットルまで、全12機種に展開しています。 今回の実験で使用したのは、中型にあたる110リットルのアルミ回転釜です。
▲110リットルのアルミ回転釜。手のひらを伸ばしたくらいの大きさです。
▲鍋の裏側。左側:ネツリードを施工、右側:ネツリードなし
ネツリード導入による調理への効果について
── 実際の調理実験では、どのような変化がありましたか?
桐山工業: 一番衝撃を受けたのは、やはり「スピード」と「仕上がり」の違いです。 金時豆の煮込み比較実験を行ったのですが、ネツリードを施工した釜は、通常の釜よりもトータルで20分〜25分も早く仕上がりました。
加熱から30分後の時点で試食をしたところ、通常釜の豆はまだ芯が残る「生豆」の状態でしたが、ネツリード釜の方はもう指で潰せるほど柔らかくなっていました。 また、「勝手に対流する」という現象も確認できました。 パスタを茹でる実験をした際、乾燥パスタを入れただけで、麺が勝手にお湯の中で泳ぎ始めたのです。
塩原製作所さんのネツリード技術は、釜の底だけでなく側面からも包み込むように熱を伝えるため、強力な対流※が生まれます。 これにより、かき混ぜる手間がいらず、煮崩れしていないのに芯までふっくら炊けるという、理想的な仕上がりが実現しました。
実験動画
ネツリード導入によるコストへの効果について
── 導入することで、コスト面にはどのようなメリットがありますか?
桐山工業: まずは「ガス代の削減」です。 熱伝導率が飛躍的に高まるため、沸騰後は「弱火」や「とろ火」に落としても十分に加熱状態を維持できます。強火で焚き続ける必要がないため、燃料費を直接的に抑えることができます。
また、一般社団法人日本厨房工業会の基準に基づいた「立ち上がり熱効率※テスト」でも、熱効率数値が約8ポイント向上するというデータが出ています。元の効率から換算すると、実質20〜30%の性能アップに相当します。 さらに、調理時間が20分短縮されることで、1日に何度も回転させる食品工場や病院給食の現場では、トータルで数時間の時短になります。これは人件費や稼働コストの削減に直結します。
ネツリード導入による作業負荷について
── 現場で働く方々の作業負担はどう変わりますか?
桐山工業: 「厨房の暑さ対策」に大きな効果があります。 夏場の厨房は過酷ですが、弱火で調理ができるため、余分な放熱(輻射熱)が減り、作業環境が涼しく快適になります。これは空調費の削減にもつながります。 メンテナンスの負担も増えません。ネツリードは釜の「外側」に施工するため、食材が触れる内側は従来のままです。いつも通りスポンジでゴシゴシ洗えますし、衛生面も安心です。 耐久性についても、ある佃煮屋さんで7年〜8年以上毎日使っても剥離していないという実績があります。「一度施工すれば塗り直し不要」というのは、現場の管理負担を減らす大きなポイントです。
ネツリード導入までについて
── そもそも、なぜ塩原製作所の技術を採用することになったのでしょうか?
桐山工業: きっかけは、大田区の展示会での出会いでした。 そこで塩原製作所さんの技術を知り、最初は「塗るだけで本当に変わるのか?」と半信半疑な部分もありました。しかし、実際にテストをしてみると、先ほどお話ししたような驚きの結果が出ました。
▲写真左から:桐山工業 品川様/牧様、株式会社塩原製作所 代表取締役 塩原 透様、WILLTEX 上田
特に、塩原製作所さんが熱吸収の良さを追求して開発された技術であること、そして長期間の過酷な使用にも耐える耐久性を持っていることが決め手となり、本格的な採用に至りました。
ネツリード導入をおすすめするかについて
── 最後に、導入を検討されている方へおすすめの言葉をお願いします。
桐山工業: 自信を持っておすすめします。一度この「早さ」と「対流」を体験すると、もう元の釜には戻れないと思います。 ガス代などの光熱費、空調費、そして労働時間という「見えないコスト」を大幅に削減できる投資になります。 「時短」「省エネ」そして「美味しさ」。これらを同時に叶えたいとお考えの施設様には、ぜひ導入していただきたいですね。
▲写真左から:WILLTEX 木村/上田、桐山工業 品川様/牧様、塩原製作所 塩原様
桐山工業様で実験したメニューと注意点
ネツリード施工鍋での調理に適しているメニュー
汁物・煮物・茹で物:大量の水やお湯を使う調理で、圧倒的な時短と対流効果を発揮します。
導入の注意点
空焚き厳禁:熱の伝わりが非常に早いため、空焚きをするとアルミの融点に達する時間が通常より早くなります。必ず水や食材が入った状態で着火してください。
揚げ物はNG:今回利用したベースとなるアルミ回転釜は、大量の油を使う揚げ物調理には適していません(※揚げ物には、より耐熱性の高い三層クラッド鋼の釜を推奨しています。)
※注釈
- 対流(たいりゅう)現象:温められた液体が循環する現象。ネツリード釜は側面からの熱伝導が強いため、かき混ぜなくても食材が踊るような強い対流が発生します。
- 立ち上がり熱効率:水を満たした状態で加熱し、一定温度まで上昇する時間やエネルギー効率を測定する指標。ネツリードはこの数値を大幅に改善します。
【製品・加工に関するお問い合わせ】
株式会社WILLTEX (ネツリード 販売・導入支援パートナー)
本記事でご紹介した吸熱・放熱塗料「NEZLEAD(ネツリード)」のご相談は、販売パートナーである株式会社WILLTEXが承ります。 私たちは「熱」を制御する技術のプロフェッショナルとして、お客様の調理現場に最適な導入プランをご提案いたします。 「自社の調理環境で導入可能か知りたい」「コストシミュレーションをしてほしい」など、まずはお気軽にご相談ください。